高齢者が安心して仕事を続けられること


介護は家族で行うものという認識が、日本では浸透してきましたが、家族構成の変化によって親の面倒を子供が看ることが難しくなってきました。そこで問題になるのが、誰が高齢者の介護を担うかという点で、社会は公的サービスによる解決を画策することになりました。しかしながら、その任を託された介護業界としては、制度の初期段階にありがちな諸問題に直面しており、その最たるものが極度の人材不足です。背景には介護業界にまつわる負のイメージが先行していることが挙げられ、この業界の社会的価値が不当に低く評価されていることにあります。その為、労働者の賃金は相変わらず低いままになっており、ある意味、ボランティア精神によって支えられている側面があります。それに関しては、世間が介護の現場の実体を知らないことも大きく関っており、見たくないものに蓋をする傾向があるわけです。

今後、少子高齢化は一層進展することが確実になっており、どこかの時点で介護の価値が見直される必要があります。そうでなければ、社会として将来の生活に不安が広がり、社会全体の活力が失われてしまうからです。日本においては、少子化と高齢化は表裏一体の関係にあるので、若年労働者の不足は、産業界全体の供給不足つながることになります。逆をいえば、高齢者を含め人々が安心して長く仕事が出来る社会になれば、そうした供給不足の不安の解消にもなるわけです。万が一の受け皿となる介護制度が整っていれば、介護業界が抱える課題解決により近づくでしょう。